HISTORY
株式会社RELI.STYLEは、2009年、一人のトレーナーが佐賀で始めた出張パーソナルトレーニング指導からスタートした。
以来、フィットネス一本の個人事業から、カフェ、ヘッドスパ、コワーキング、和菓子店、コーヒーロースタリーへと事業を広げ、近年は原点であるフィットネスにも新しい形で回帰しながら、2026年現在、佐賀市唐人町エリアを拠点に9つのブランドを展開している(社内の区分では4事業部・7事業領域にまたがる)。
その歩みは、単に店舗数を増やしてきた歴史ではない。一つの事業から始まった会社が、幾つもの挑戦と失敗、決断を重ねながら、「店をつくること」から「街をつくること」へと、少しずつ目的そのものを広げてきた歴史でもある。
船津脩平、25歳で個人事業主として創業。出張パーソナルトレーニング指導「body-mind LOOP」開始
1号店「RELI.STYLEフィットネス」を佐賀市唐人町に開業(女性専用フィットネスクラブ)
2号店「CAFE木と本」・「ヘッドスパ木と本」を開業。個人事業主から法人化
3号店「ROUTii BASE」、4号店「TSUITACHI COFFEE & TEA」、5号店「LIGHTHOUSE」(準備中)を相次いで開業。同年、大きな経営危機を経験(下記参照)
LIGHTHOUSE正式グランドオープン
コーヒー豆の自家焙煎・販売を中心とする新業態「珈暮(KOGURE)」の構想を温め始める
コロナ禍。休業手当の支給等、従業員を守る対応を実施
唐人町エリアへの「一点集中」出店戦略を明文化。この時点で6ブランド経営
経営・起業・自己啓発をテーマにした著書を出版
全店で一部商品の価格改定(値上げ)を実施
全従業員の給与ベースアップを実施
第8期決算。8期連続の増収を達成。同時期、代表に第一子誕生
「街の日常の賑わいづくり企業のロールモデルになる」という存在意義を改めて言語化。売上高10億円を当面の目標に設定
CAFE木と本、9周年
7店舗目(後の「えびすあんこ」)となる新店舗物件を取得。同じ月、唐人エリア中央大通り沿いの別の物件(後にKOGURE COFFEE & ROASTERYが入る建物)も金融機関からの借入により取得
独自の人材育成方針についての考えを発信
7店舗目「えびすあんこ」(佐賀の郷土色を再編集した和菓子店)開業
OUTLAWER STRENGTH(完全個室・予約制の高重量トレーニングジム)を佐賀市内に開業。2013年の少人数制ジムに続く「顧客満足を突き詰めた次の一手」
第11期決算。過去最高売上を更新
KOGURE COFFEE & ROASTERY プレオープン
KOGURE COFFEE & ROASTERY グランドオープン(自家焙煎珈琲・豆販売に加え、2階にコワーキングスペース「KOGURE CO-WORKERS」を併設)
25歳の船津脩平(1984年9月生まれ)は、2009年12月、大学卒業後にフィットネスクラブのトレーナーという立場から「個人事業主」として独立した。屋号「body-mind LOOP」として、当時佐賀ではまだ珍しかった加圧トレーニングを用いた、出張形式のパーソナルトレーニング指導からスタートしている。
28歳のとき、個人事業を発展させる形で、実店舗1号店「RELI.STYLEフィットネス」を佐賀市唐人町に開業した。ここが、後にエリアリノベーションと呼ぶことになる活動の出発点になる。当時の唐人町は、本人の言葉を借りれば「THE寂れた街」であり、佐賀の県都のメインストリートでありながら賑わいを失っていた場所だった。
2号店として「CAFE木と本」(および同じ建物内の「ヘッドスパ木と本」)を開業。フィットネス一本で発展してきた事業にとって、初めての異業種への挑戦だった。この2号店の出店にあわせて、個人事業主から法人化している。
木と本というブランドの核にあるコンセプトは「木と本+人(にんべん)=体を休める場所」というもので、ロングステイ歓迎のブックカフェとして、また「フェロー」という独自の会員制度を持つ場としてスタートした。
35歳のとき、「ROUTii BASE」(男性向けの少人数制フィットネス、古民家改修)、「TSUITACHI COFFEE & TEA」(佐賀の銘菓を再編集する喫茶)、「LIGHTHOUSE」(古民家レンタルスペース)を、「tojin242」という一つの建物にほぼ同時期に展開する形で開業した。3店舗同時という、それまでで最大規模の挑戦であり、複数店舗への集中投資によって会社の資金余力は大きく低下した。
同じ2019年、会社は創業以来でも大きな資金繰りの危機を経験している。直接のきっかけは、3期目分の消費税納税がまとめて発生し、予定納税とあわせておよそ300万円という想定外の現金支出に直面したこと、そして事業の中核を担っていた社員が急に退職したことだった。tojin242への集中投資で資金余力が小さくなっていたことも、この危機の背景の一つだったと考えられる。この経験をきっかけに、キャッシュフローを管理する仕組みや、後の「リリグラム(社内研修システム)」につながる社員教育の仕組み化を進めていった。
会社としては「エリアリノベーション」という一つのミッションに向かっている、という考え方が、この時期に明確に言語化された。唐人町エリアに、全て徒歩5分圏内という「集中出店」を行う独自のアプローチであり、地域活性化を自社のオリジナルブランド店舗づくりで実現しようとする、他に類を見ない手法だった。この時点で6ブランドを経営していた。
1月、経営・起業・自己啓発をテーマにした著書を出版した。36歳、5店舗経営時点までに考えてきたことを77のエッセンスにまとめたもので、ライターとの共著という形をとっている。
同じ頃、「ファンとクルーを大切にする」という考え方も明確になっていった。お客様を「ファン」「お客さん」「一見さん」「クレーマー」「ブラックリスト」に分けて捉え、売上や来店頻度の多寡ではなく、店とクルーへの敬意と節度を持つ人こそが「いいお客様」だという価値観である。この年の4月には、実際に全店で一部商品の値上げも実施した。
コロナ禍の終盤、最低賃金の上昇・人手不足・DX化による生産性向上を背景に、2023年1月から3月にかけて全従業員の給与ベースアップを実施した。
同年4月期(第8期)の決算では、前期比1.5%の増収を達成し、8期連続の増収記録を継続した。同じ時期に代表に第一子が誕生している。
創業以来の目的を、改めて「街の日常の賑わいづくり企業のロールモデルになる」という言葉で言語化した年。中心市街地のシャッター街化という社会問題に対する一つの解決策を示す活動である、という位置づけを明確にした年でもある。
目的(街の賑わい創出)のための手段として、売上高10億円企業になることを当面の目標に掲げた。10億円という数字は、地方都市の中心市街地に一つのインパクトのある店舗をつくるために必要な投資額(約5,000万円)から逆算したものである。
2025年1月、7店舗目となる新店舗用の物件(土地・建物)を取得した。この時点では何を出店するか具体的なプランは固まっておらず、「ノープラン」のままの取得だった。
2026年3月1日、その物件で「えびすあんこ」(佐賀の郷土色を再編集した食べ歩き和菓子店、看板商品「えびす焼き」)が開業した。カフェ業態では呼べていなかった客層(子供連れや年配層、手土産目的の購買層)を新たに呼び込むことに成功し、狙い通りの反響を得た。
2026年、完全個室・予約制の高重量トレーニングジム「OUTLAWER STRENGTH」を佐賀市内(JR佐賀駅から徒歩12分)に開業した。営業時間は5:00〜24:00の年中無休で、会員制ではなく都度払い制を採用している。背景にあるのは、「立地にかかわらず人を呼べるビジネスをつくるには、そこにしかない絶対的な顧客価値をつくらなければならない」という一貫した考え方だ。既存市場のパイを奪い合うのではなく、まだ地域に存在しない価値そのものをつくる——佐賀には、このクオリティの完全個室ジムはそれまで存在しなかった。
この発想は、約13年前の2013年、1号店「RELI.STYLEフィットネス」を少人数制で始めたときと同じ系譜にある。当時主流だった大型フィットネスクラブへの不満——混雑する、周囲に気を使う——を解消するため、少人数制という当時としては新しい形をつくり、その後、少人数制・小規模型のジムは世の中で一般化していった。OUTLAWER STRENGTHは、その先の顧客体験として構想した「完全個室」という次の一手であり、器具を譲る・順番を待つといった配慮すら不要な、完全に自分たちだけのトレーニング空間である。「順番待ちも気遣いもいらない」というコンセプトは、この思想から生まれている。一人での利用だけでなく、友人同士・カップル・親子・パーソナルトレーナーとクライアントなど、ペアでの貸切利用も想定しており、地域で活動するトレーナーとの接点をつくる場としても位置づけている。
大型ジムへの不満を解消する少人数制ジムをつくり、それが世の中に一般化した先に、個の満足度をさらに突き詰めた完全個室ジムをつくる——OUTLAWER STRENGTHは単発の新規事業ではなく、「ここにしかない価値をつくり、その価値を求めて人が訪れる場所をつくる」というRELI.STYLEの一貫した事業づくりの思想の延長線上にある。
「珈暮(KOGURE)」——「珈」ヒーのある「暮」らし、から名付けた造語をKOGURE(こぐれ)と読ませるこの店の構想は、2026年に突然生まれたものではない。RELI.STYLEは2020年頃から、コーヒー豆の自家焙煎・販売を中心とする、CAFE木と本・TSUITACHI COFFEE & TEAとは異なるポジショニングの珈琲屋という構想を温めてきた。背景には、木と本(約10年)とTSUITACHI COFFEE & TEA(約6年)の運営で得た実感がある。喫茶・珈琲は客単価だけで見れば利益を出しにくいビジネスだが、「街に人を呼ぶ力」を持つ。街に人を呼び、日常の賑わいをつくるというRELI.STYLEの目的にとって、珈琲は重要な事業領域だと考えている。
KOGUREにはもう一つ、事業上の仮説がある。すでに徒歩圏内で複数の珈琲・カフェ業態を運営する中、一般には「近くに同じような店を増やせば客を食い合う」と考えられるが、異なるペルソナ・利用目的・体験価値を持つ店をつくれば、同業種の集積そのものがエリアを目的地に変え得る——佐賀県内の有田(焼き物)や小城(羊羹)のような集積のあり方である。そこで既存ブランドとは意図的に魅力を「ずらして」設計した。一人で静かに読書するCAFE木と本、佐賀らしさをテイクアウトでも楽しめるTSUITACHI COFFEE & TEAに対し、KOGUREは「珈琲のある暮らし」と「集まる」を軸に据える。喫茶だけでなく豆販売を事業の柱の一つとし、自宅や職場など日常生活にも本格的な珈琲を持ち帰ってもらうことを狙い、今後はドリップやテイスティングを学べるコーヒーセミナーも計画している。自家焙煎はバックヤードに隠さず店内で行い、香りや煙も含めて「珈琲のある暮らし」を五感で感じられる体験にした。2階の「KOGURE CO-WORKERS」は、「一人で静かに過ごす」木と本とは逆方向の「集まる」価値として、仕事・学び・交流のための空間を提供している。
KOGUREが入る唐人エリア中央大通り沿いの物件は、2024年9月頃に売却の話が持ち上がり、2025年1月にRELI.STYLEが取得した。売却情報が広く公開される前から複数の購入希望者がいたといい、中には駐車場等への転用を検討する希望者もいたという。代表は、この場所を投機対象や駐車場にするのではなく人が訪れ街の賑わいを生む場所として残したいという思いから、これまでの街づくりへの取り組みや思いを手紙にして売主に直接伝え、最終的に譲り受けた。取得には金融機関からの借入も活用している。25歳で資金も信用もほとんどない状態から創業した会社が、十数年かけて実績と信用を積み重ね、自ら街の重要な不動産を取得できる会社になった——その変化を象徴する出来事でもある。建物自体は長い年月を経たレトロな建物で、取り壊してゼロから作り直すのではなく、傷んだ部分に現代的な素材・デザインを加えて古さと新しさを共存させる「ネオレトロ」という方向を選んだ。「経年」は、今からお金をかけてもつくれない価値だからである。
2026年6月にプレオープン、同年8月にグランドオープンした。RELI.STYLEの店舗づくりでは、グランドオープンを「完成」とは考えていない。コンセプトの軸は変えないまま、実際の利用を見ながら小さな改善を重ねていく方針を、KOGUREにも引き継いでいる。